景色、人、もの…全てが一期一会。【イタリア・ベネチア】
幼い頃、鉛筆を持って遊びで迷路を解きながら、「あぁ、いつか自分自身が迷路の中に入ってみたい」と夢を抱いたことがあった。
紙の上だけじゃつまらない。
私が中に入ってぐるぐる迷いながら、ゴールを目指したい、と。
それが叶う場所を見つけた。
高校生の頃、この街の存在を知った時からずっと訪れてみたかったイタリア、ベネチア。
念願だった「水の都」と言われるその街に降り立つと、一歩先へ進むたび複雑に入り組んだ迷路がお出迎え。
え、自分ってこんなに方向音痴だったけ…って引くくらい滞在期間中とことん迷った。
行き先も、行き方も、ちゃんと確認したはずなのに、「あれ、あれ?」って思っているうちに一向に目的地につかない。
(あの角を曲がればゴールって思ってたのに、見事に正反対の海に出た時はまじで絶望した)
「また帰りにこの店に寄ろう」と思っても、同じ道を通れる自信は0パーセント(少なくとも私の場合は)。
「この景色きれいだな」と思ったら、すぐにシャッターを切る。
全てが一度きり。
だから五感を全開にして何もかもを味わう。
陸にいる時はほぼ必ず迷ってしまうので、水上バスであるヴァポレットの上にいた方がよっぽど安定してた。気持ち的に(笑)。
どれだけ迷っても「ま、いっか」と思ってしまうのは、この街の大らかさがあるからだろうか。
車もバイクも自転車など、「現代っぽい」音のしないこの街では、急いでる方が目立ってしまうのではと思うほど。
「ま、いいか。のんびり行こう」
そう思ってまた歩き出す。
正反対の方向に進んでいると気付かずに…(笑)
だって全部が素敵な景色で、同じように見えてしまうんだもん。